2015年12月18日金曜日

ペーパーレス洞窟測量 vol.3 ”測量してみた→感動!”

本当にペーパーレスだった!


2015年12月13日 岐阜県郡上市八幡町で、先日見つけた3つの洞窟を再び訪れました。
2つは入洞するためにディギングが必要。
1つは地元でも知られている洞窟。

洞窟へと向かう


先週ようやくキャリブレーションを完了したDistoX2の初登場!

DistoX2のデビュー!
まずは簡単な洞窟から。
ということで、地元の方に教えてもらった、深さ20mの小さな竪穴から~。

他の二人は、ほんの数10m離れた場所にある別の洞口を開口中。
一人で、あれこれ悩みつつ、のんびりやって、2時間程度で測量できました。

DistoX2で計測すると、Bluetoothを介してPDAにデータが送られます。

すみません、スクリーンショットの撮り方が分からなかったので、PDAの画面をカメラで撮りました。ちょっと画像がへぼいです。

計測したデータの表示
 FromとToにポイント数が入っている行が、側線になります。
側線にしたいポイントは、連続で3回計測します。
近似値が3回計測されたことを確認すると、ソフトが自動で次のポイントとして認識します。
ソフトがうまくポイントを認識してくれない場合は、手動で認識できます。

側線以外のポイントは、洞窟の形状を表すための線になります。

計測したポイントは、すぐに側線として表示されます。
側線は、平面図画面と縦断面図画面で確認できます。

縦断面画面

上の画面で赤い線が自動で表示された線です。
黒い線は、計測した線を元に、私がスケッチしました。
今回は、竪穴だったので、縦断面だけ描きました~。

 側線と、形状を表すための線を使って、スタイラスでスケッチします。

左上の丸は、洞口です。
クロスセクション機能を使って描きました。

クロスセクションを描きたいポイントを中心に360°一周測ってから、画面上のそのポイントを長押しすると、サブメニューが表示されて、クロスセクションモードになります。
この機能、最高です。大好きです。

完成したスケッチ
えへへ~。できたー。

と、できあがったら、グラフィックデータをエクスポートします。

グラフィックデータのエクスポート画面
平面、縦断面は、それぞれ別のファイルとして出力されます。
そのほかに、縮尺を選んで出力するか、実寸で出力かも選べます。
また、出力する要素レイヤーを選択できます。(Adobe Illustratorなどで表現できる)

出力先は、PDAのハードドライブやSDカードを選べます。SDカードに保存したほうが便利ですねー。

出力されるのは、「.dxf」ファイルです。
私はAdobe Illustratorで開きました。

開くとき、必ず「元のサイズ」で!!!


イラストレーターで開いたdxfファイル

 Illustratorで開くと、PDA上で見ていたままのスケッチが!
感激!もう図面ができちゃったよ~。


スケッチは、編集可能なベクター形式で出力される。。。

 スケッチの部分は、洞窟内で小さなPDA画面に描いたので、どうしても線が重なったり、途切れたりしているので、イラレ上で修正すると完成度が上がります。


図面が完成したら、XSectのレイヤーを削除
側線を残したいなら、Shotsのレイヤーを黒い線にして、残せば良いのだ。側線が邪魔なら、Shotsのレイヤーも削除!
このすっきりしたレイヤー構成も最高です!

さらに、スケールや洞窟名、総延長、高低差など入力して、完成させます。

はい、できあがりー。
そうそう、総延長と高低差も、Pocket Topoの画面で表示されます。

この画面の下のほうです。
しかし、総延長と高低差が、小数点以下を表示しないのが気に入らない。
今回は、古き良き測量ソフト Compass に、側線データを入力して、計算しなおしました。
ちなみに、計算用のテキストデータも、Pocket Topoからエクスポートできます。

測量のテキストデータをエクスポートする画面

いずれにせよ、測量してから帰宅したら、ほぼ図面ができあがってるのが最高です。
この日は、もう一つの洞窟も測量しました。
こっちは、リバースショットで計測したところと、普通に測ったところが、うまくつなげられなくて、苦労しましたが、図面は無事にできました。

ちなみに、防水カバーは、一日でボロボロ

狭いところでグリグリしたら、一瞬で穴が開きました。
ちょっと高価でも、ちゃんとした防水ケースを用意したいかも。
苦労して測量したデータが無くなるのは、お金に代え難い辛さです。

あと、この日2つの洞窟を測量して、その後スケッチの見直しでごちゃごちゃしていたら、1日でPDAの電池が無くなりかけました
「データを保存しないと、バッテリーがないよ」とメッセージが出たのです。

だいたい4~5時間くらいしか持たなかった。
予備の電池を買わなければいけないことが分かりました。



2015年12月9日水曜日

ペーパーレス洞窟測量 vol.2 ”キャリブレーションとPDA”

祝!キャリブレーション完了!


キャリブレーション完了した瞬間の華々しい写真!!


DistoX2のセットアップで、一番難しいのはキャリブレーションでした!


私は、もっと簡単なものと思っていて、マニュアルを斜め読みしたあと、You Tubeで見つけたキャリブレーションのハウツー動画をマネしてやってみたところ、全然できなくて、まる一か月も奮闘することになってしまった!

DistoX2が既製品を改造して作るものなので、正確な計測をするために、キャリブレーションは必ずしなければいけないと書かれている。だけど、自分で何をやってるのか、さっぱりわからないので、うまく行かないときにどうすればいいのかも分からない。

・マニュアル
http://paperless.bheeb.ch/download/DistoX2_CalibrationManual.pdf

・You Tubeで見つけたハウツー動画(何をやるか理解するのにとても役立った!)
https://www.youtube.com/watch?v=IYAKCc9ZCJ0


参考になるかどうかわからないけど、私がやったことをメモしておきます。

書きだしてみると、ずいぶん長い道のりですが、実際の作業も長い道のりです。
特に、⑧のところで期待する数値が出ずに、何度もやり直ししました。

キャリブレーションは洞窟で実施するのが一番。小さな金属でも、Distoの計測値に影響するので、できるだけ磁性が影響しない場所を選ぶこと。

Distoの角度を0度、90度、45度にするための台座を用意する。
私はA4くらいの小さな木の板と、二等辺三角の木片を東急ハンズで買いました。


Distoのレーザーが出るところを紙とテープでふさぐ
測った距離が一定になるように、考えた末の対策ですが、キャリブレーションのときは距離は問題でなくて、角度が重要と書かれているネットの書き込みもあったので、効果は不明

洞窟に行って、できるだけ金属の無い環境を作る。
ヘルメット、時計などバッグに入れて、岩盤で隔てられた隣の空間に置き、サブライトだけでキャリブレーションをスタートする。

DistoX2の[CLEAR]+[SMART△]キーを同時押しで、キャリブレーションモードに切り替える。

マニュアルどおり、56ショットを計測する。
測る方向:上下、左右、前後、斜め右前上下、斜め左前上下、斜め右後ろ上下、斜め左後ろ上下
測るとき、DistoX2を回転させて4方向を1ショットずつ取る。

PocketTopoの[Stop]を選択し、DistoX2のキャリブレーションモードを終了する。

PocketTopoのキャリブレーションメニューで、計測値を読み込んで、PocketTopo上で[Evaluate]する。
→計測値の下に出る数字の、左から三つめΔの数値が、「0.5」より小さい場合、キャリブレーションは成功。

PocketTopoの[Update]を選択する。
画面の下に「Now Progressing…」(正確な文面は忘れた)と表示され、結果がDistoX2に転送されたら、[OK]に変わる。

確認のために、画面を上右下左に向けた状態で4ショット測り、角度が0.2~0.3度以内の誤差であれば問題ない。



接続するデバイス

私はDistoX2と接続するデバイスとして、中古のPDA(hp iPAQ h4150(英語版)¥5,750)を購入しました。

デバイスに必要な条件は、以下の2つ。
必要な測量ソフトがインストールできる
Bluetooth接続ができる


今どきのアンドロイドでいいです。
実際、アンドロイドを使ってDistoX2で測量している人もいるようです。防水で、電池の持ちが良ければ、古臭いPDAを使う必要はないと思います。


しかし、私が参加したワークショップのスピーカーだったMateusz Golicz氏のおすすめであるPocketTopoを使いたかったので、Windows Mobileを搭載したPDAを選びました。

DistoX2を開発したHeeb氏のおすすめは、RPDA 696ですが、見つけられなかった。また、HP iPAQ 114もおすすめしていますが、出回っているものが高価だったので、手が出ませんでした。こういったPDAは、まだ防水の仕様ではない時代に販売されていたので、洞窟で使うにあたって、防水ケースに入れたり、よくあるビニールのケースに入れて対策をします。

私も、二枚で1000円くらいの安いケースを買って入れてみた。これは完全に消耗品です。高くてかっこいいケースもありますが、1万円以上と高価なので、却下。
2枚1000円くらいで、好日山荘でゲットした防水パック。テープで補強してから、紐を通した。



PDAを購入したら、Pocket Topoをインストールするのですが、たぶんやり方が分からないので、やり方を書いてあるサイトのリンクを貼っておきます。

Pocket Topoインストール手順
http://bec-cave.org.uk/index.php?option=com_content&view=article&id=1209:pocket-topo-installation-instructions&catid=69&Itemid=591&lang=en


その昔、PDAはパームという種類が流行って、私も昔持っていましたが、パームはOSがWindows moblileではないので、Pocket Topoが使用できません。
しかし、パーム用の同様のソフトがあるそうで、Heeb氏のサイトに紹介されていました。




とにかく、キャリブレーションが終わって、ようやくペーパーレス測量ができます!
やったー!!!!!