広州 洞窟探検記 2018/12 ②
近野由利子
12/1(土)
さぁ、いよいよ広州週末女子会洞窟探検スタート!
探検と言えば、まずは朝めしから!
アジアの国々では、朝ご飯を外食ですませる習慣のところが多くて、中国も美味しい朝ご飯を出すお店がたくさんある。
屋台のお店で、おかゆに揚げパンをトッピングしたやつとか、やけにおいしくて、朝から丼を抱えて食べてしまう。
その他の国では、ラオスの朝ごはん。屋台の汁そば屋さんが最高。
ラオスでは、コーヒーもポピュラーなので、汁そばの後にコーヒーでまったりとするのがたまりません。
日本でも朝定食とかモーニングとかあるけど、やっぱり毎日の朝ご飯は家で、ってイメージが強い気がする。
朝はできるだけノンビリしたい私は、日本でもカジュアルな朝ご飯の外食文化が広がるといいなー、と思っている。
この日は、麺&おかゆのお店で朝食。
メニューの種類が多くて選ぶのが大変だった。
こんな感じ
↓
わんたん
わんたん&野菜
緑のわんたん
緑のわんたん&野菜
汁そば
汁そばと野菜
汁そば&わんたん
汁そば&緑のわんたん
汁そば&わんたん&野菜
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選べねー!
私はスタンダードな、汁そば&わんたんを注文したけど、ダシのきいたアッサリ味でウマー!
広州は、味付けがアッサリしていて、日本人にはぴったりだ。
麺やおかゆ以外のおかずも豊富。一人10元だった。 |
村に到着したのは、10時。
ホテルから近いので、ゆっくりしても余裕だった。
村の小さな広場みたいなところに車を停めると、村人たちが見物に集まってきた。
この村での探検の許可は、事前にPangが政府に申請しておいてくれたので、外国人の私たちも多少、安心して行動できる。
ふつうの観光旅行ならおそらく不都合はないだろうけど、地方の村や山奥の洞窟に入るときには、たとえ許可をもらっていても、外国人は行動に気をつけなければいけない。
その国の情報や資源を盗もうとしていると疑われないように。
これは中国だけでなく、他の国でも同様で、日本と同じ感覚でいるのはよくない。
といっても、村の人たちはみんなニコニコして、優しそう。
名物の鶏たちも、家々の間を駆け回って、元気そうだ。
私たちは、村人たちの好奇の目を浴びながら準備をして、村の裏山にある洞窟へ。
村人に注目されながら洞窟へ向かう |
Pangたちが、以前この村に来たとき、入り口だけ見つけて中に入っていない2つの洞窟があり、それらを探検するのが、今日の目的だ。
ホテルから車で20分、洞口はすでに発見済み、あとは中に入るだけ。
!なんて贅沢な殿様探検なのだろうか!
ふだん、日本では、洞窟を探すために、山の中を一日中歩き回って、洞窟の気配すら感じることもなく一日を終えて、
「今日、何のために山に来たんだっけ...。」
と、自分に問いかけ、虚しい思いをすることばかりなので、この贅沢さに戸惑いを覚えてしまう...。
村の裏山を40~50分歩いて、少し迷った末に、洞口に到着。めちゃ近い!
山の斜面は、カレンフェルトと言われる典型的な石灰岩の地形だが、石が黒っぽい。
通常、よく見る石灰岩は白っぽい色なので、少し変わっていると思ったけど、表面がよく溶けていたので、洞窟への期待が高まった。
黒っぽい石灰。少し雨が降ったので石が濡れている |
洞口に到着すると、Pangが「さぁ、どうぞ入って」と薦めてくれた。
「え、でもPangが見つけた穴だし、Pangたちが先に入りなよ」
と、躊躇したら、
「みんなに探検してほしくて連れてきたから、入って。私たちは洞口でおしゃべりしたり、のんびりしてから入るよ。」
うーん。
さすが。
中国は、ワールドクラスの洞窟が目白押し、見つけても見つけてもキリがないというゴージャスな国だ。
こんな小さな穴、惜しくもないのだろう。
余裕ありすぎ。
私たち日本チームは、遠慮なく初探検の栄誉を受けて、先陣を切って中に入ることにした。
入り口は、「え?これ岐阜の洞窟じゃないの?」と間違うほどの小さな隙間。
岐阜の洞窟...ではなくて、中国の洞窟です |
洞口から下をのぞき込むと、2mくらい下に足場が見えて、ホールドもしっかりしていたので、いったん、フリーで降りてみた。
降りれなくないけど、登るのがちょっと大変。
いろんな人が降りることになるので、安全のためにロープを張ろうと、また洞口に戻り、一発アンカーを打って、SRTのルートを作った。
その下は傾斜の緩い斜面で、ロープは不要になった。
斜面を一番下まで降りきると、広いホールの端っこに降り立った。
頭上に見える洞口までは12~13mの高さだろうか?
後ろから、測量チームが降りてくるのが見えた。
先に一人で探検してやるー、と、張り切って歩き出したけど、どうやら目の前のホールがこの洞窟の全てみたいだ。
SRT装備を外して地面に置いて、少し見て回った。
ホールはいびつな楕円形で20×100mくらい?
地面に半径1.5m、深さ50cmくらいの人工の穴が1つ穿ってある。
手作りの木梯子も落ちている。
明らかに初めての探検者は私たちではなくて、村人たちだ。
大きな洞窟が多い国では、洞窟を様々な用途に使用しているため、アクセスが容易な洞窟はかなりの確率で人の痕跡が残っている。
民家の近くにある洞窟では、コウモリのふん(グアノ)を集めて、火薬や肥料を作っていることが多いので、この洞窟の地面にあった人工の穴は、火薬を作るのに使われたのかなーと思ったけど、未確認。
それほど大きな洞窟ではないし、コウモリも少なそうなので、他の用途だったのかもしれない。
火薬や肥料としてグアノを活用する以外には、コウモリや洞内河川の魚を、食用に捕獲しているところもあり、その場合は捕獲用のアミや仕掛けが残されていることが多いが、この洞窟では見つからなかった。
村は家畜が多くて豊かなので、わざわざコウモリを食べなくていいのだろう。
楕円のホールからは、対角線の二方向に枝道が伸びていて、一方は、40mくらいの長さ、もう一方はもう少し長くてクネクネと続いていた。
ひととおり歩き回ってからホールに戻ると、中国チームもみんなバラバラと降りてきていて、洞窟の中が騒がしくなってきた。
みんな、あーだこーだ言いながら洞窟の中を歩きまわっていたが、香港チームのマンディが近づいてきて、
「あれ、これだけしか続いてなかったのか。あまり大きくなかったね、ごめん。」
と、申し訳なさそうに言ってきた。
言われてびっくり!
「謝らないで!日本だったら、この洞窟はけっこうすごい洞窟だよ!それに、どんな穴でも探検は楽しいし!」
と、答えたらマンディは安心したようだった。
この探検での中国チームの目的は、日本チームを喜ばせることだったみたい。
なんというおもてなし魂。
一つめの洞窟の測量を終えて、出洞したのは15時ごろだった。
もう一つの洞窟も近くにあるということで、そのまま移動。
30分後には2つめの洞窟の入り口に到着していた。
2つめの洞窟の洞内から外を見たところ。メインルートは真下に向かっている |
高低差51mで、測量した全体の長さは、水平部分を含めると69.7mだった。
穴自体はそれほどの規模はないけれど、全員が一番下まで降りるのに時間がかかった。
竪穴は1本のロープで降りるので、1ピッチを1人ずつしか降りられず、どうしても時間がかかってしまう。
竪穴の底には、クラック状の狭い岩の隙間があって、水平方向にさらに奥へ続いていたので、そこにも体をねじ込んだけど、あまりに狭くて奥には行けず、その先のルートは見つからなかった。
この狭い隙間も、岐阜の洞窟にそっくりで、私たちはこの穴を「郡上洞」と名付けた。
郡上は岐阜の中でも私たちがよく行くカルストエリアなのだ。
日本チームが狭いところに入り込んでいると、中国チームが真似して入ってきた。
中国の洞窟はどこも大きいので、こんな狭い場所に入るのが珍しいようだ。
しばらくすると、陽気な香港チームのメンバーたちが、ワイワイと騒ぎ始めた。
何事かと思って見ていると、狭いルートに体を押し込んでから、中でUターンして戻ってくるまでに何秒かかるか、というタイムトライアルのレースを始めていた。
単純なゲームだけど、お互いに応援し合いながらやると、すごく楽しいのでおススメです。
日本チーム・重慶チームも参戦して、みんなでゲラゲラ笑って大盛り上がりだった。
狭いルートに入るのに、こんなに盛り上がったのは初めてだ。
みんなで大騒ぎしているうちに測量も終わったので、順番に出洞を開始した。
入るときと同様に、1人ずつしか出られないので、また時間がかかる。
日本チームは、最下層の小さな空間に身を寄せて、英語の苦手な重慶メンバーと、片言でコミュニケーションしながら、のんびりと自分たちの順番を待った。
全員、出洞したのは、夜の20:30。
入洞が15:30ごろで遅めだったし、人数も多いので仕方ない。
片付けをして下山し、村の駐車場で着替えてから、街に帰りついたのは21時半すぎ。
今日もみんな腹ペコだったので、そのまま町の火鍋レストランに突入した。
火鍋レストランに入ったとたん、重慶っ子のシャオツォンはゴキゲンになって、嬉しそうに鍋のつけダレを作り始めた。
火鍋は、重慶の名物料理で、真っ赤な激辛鍋だ。
最近は日本でもファンが増えているので、知っている人も多いだろう。
唐辛子も大量に入っているけど、花椒(ファージャー)と言われる四川省独特の山椒が、強烈な刺激を加えている。
辛みとは違う、独特な刺激で、口の中がマヒしたような感じになるのだけど、一度食べるとクセになる。
四川省出身の友人が、日本に留学に来たとき、大切そうに花椒(ファージャー)を袋に入れて持ってきていたので、日本人にとっての醤油みたいなもの。故郷の味なのかな。
それでシャオツォンも嬉しそうなのだろう。
火鍋の具材は、野菜・肉・豆腐・魚介など、とても種類が多いし、つけダレも味噌や醤油をそれぞれの好みで加え、ニンニクを入れたり、ネギやゴマを入れたりと、本当に楽しい!
![]() |
見たことのない具材がいっぱいなのだ |
![]() |
奥が激辛の鍋で、手前は辛くない安全な鍋 |
「わー、辛い~」
「私はこれくらいの辛さは平気だもん!」
そんな、無邪気な会話を交わせるだけの余裕があったのは最初だけだった。
どうやら、重慶っ子には辛さが足りなかったらしい。
重慶チームの3人が店のマスターに頼んで、辛そうな鍋の素を大量に追加し始めた。
大きなボウルにいっぱい入った真っ赤な鍋の素を、マスターがおたま山盛りにすくって、ボチャボチャと鍋に投入するのを、重慶チームの3人は満足そうに頷きながら見ている。
まさかの緊急事態を目の間にして、香港チームと日本チームは全員、恐怖で絶叫の声を上げたが、後の祭り。
ただでも辛かった火鍋が、煮えたぎるマグマにしか見えなくなった。もはや地獄の鍋だ。
重慶チーム 「まだ辛さが足りないよ」
香港・日本チーム 「Oh, it looks so evil...」(すごい邪悪に見えるわ...)
その日の探検の成果を、邪悪な火鍋で祝いつつ、夜は更けていった。
明日は、すでに探検済みの洞窟でファンケイビングの後、空港に帰るぞー。
(つづく)
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