2018年10月18日木曜日

キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 3

キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 3

近野由利子

今回の遠征のルートは以下のとおり。
C地点の付近がコキヤ(Kok-kiy)エリア。ここから、さらに中国国境近くまで南下したところにキョルス(Kel-suu)湖という小さな湖があって、その湖の南端に洞窟があるという情報あり。まずはそこを確認するためのキャンプを設営、その後キャンプを移動して、さらに50kmほど東側の渓谷付近を調査。
最後に、少し北へ戻り、ナリン(Naryn)という小さな町の近くにある山(B地点)を調査する。



しかし、昨日アレクセイがミーティングのときに、ターゲットエリアの写真を見せてくれたのだけど、どの写真を見ても、洞窟が無さそうだった。
すでに確認済みという洞窟の写真も、規模が小さくて、たまたまちょっと空いてますって感じだった...。
他のメンバーは、ケイビングの経験の少ないメンツばかり...。
この負け試合感たっぷりなスタートから、どんな遠征になるのか、ワクワクヒヤヒヤしつつのキルギス2日目を迎えた。

6/9 10:00ごろに来るという話だったスペイン人2人組は、ちょっと早めの9:30にはホテルに到着した。
一目見て、経験豊富なケイバーといった雰囲気の、40~50代くらいの男性二人組、セシリオとミゲルだった。セシリオは愛嬌を含んだまなざしの巻き毛のナイスガイで、ミゲルは不器用そうな大柄の無口なタフガイタイプ。二人とも英語はあまり得意でないけど、体力も経験もあるので、チームのみんなに頼られた。

さすが、参加者はみんなフットワークが軽くて、荷物を次々と車に積み込んで、11:00になる前に全員がミニバスと4WDのミニバンに乗り込んで、出発した。
今日中にコキヤまで行くのは無理なので、途中のナリンで一泊する予定だ。
道中、スーパーで買い物したり、サービスエリアみたいなところでランチを食べたり、そのあとは1時間おきにトイレ休憩でストップした。どうやら、車を定期的に休ませたいみたいだった。
スーパーの向こうに見える天山山脈の大迫力

スーパーやサービスエリア的なレストランでは、トイレが有料だった。5ソム硬貨を、入り口のカウンターにいるおばちゃんに渡すと、カウンターの小窓に棒に刺したトイレットペーパーがあって、女性にはそれを少しちぎって渡してくれる。
ちなみに、キルギスのトイレットペーパーはダブルで厚手で、比較的いい紙だった。経済力が低い国はトイレットペーパーが薄くて粗いのだけど。キルギスは裕福な国ではないから、紙を薄くするセコさが身に付いてないのではないかな。大国ロシアに守られてきた箱入り娘なのかも。
なお、最近、日本のトイレットペーパーの質が下がってきているので、日本経済を憂いているところ。
サービスエリア的なレストランのビュッフェはボリューム大!


15:00にはキルギスの有名なリゾート地イシククル(Ysyk-Köl)湖に到着した。ここで、チームのごはんを作ってくれる、コックのレナをピックアップした。

イシククル湖の横をかすめただけなので、透明で美しいという湖畔を見ることはできなくて、石の山と枯草ばかりの景色の中、車を走らせた。日本人には見慣れない景色だけど、カリフォルニア在住のギルバートは、「うちの近所とほとんど植生とか地形が同じだよ」と言っていた。

ナリンに近づくと、田舎というか、僻地っぽくなってくる。
道沿いに出店が並んでいるところで休憩した。
ここで、トゥルンは「これクルシュだよ。飲んでごらん。」と出店のおばちゃんから白い飲み物が満タンに入ったコップを受け取った
こ、これは!おなじみの発酵食品だ!
だいたい探検に行くと、その国の発酵した「何か」を食べることになるのだが、キルギスの場合は、馬の乳を発酵させてみましたー、ということで馬乳酒でした。

飲んでみたら、ちょっと酸っぱいけど、特に嫌な感じはしない。この後も何度かクルシュを飲んだけど、この店のクルシュは味がいまいちだった。
ただし、味よりも、手作りで、表面にいろいろ浮かんでるクルシュをガブ飲みするのはちょっと無謀だ。みんなで一口ずつ味見して、トゥルンに返すと、トゥルンも出店のおばちゃんにコップを返して、おばちゃんはそのまま残りをジャバッとタンクに戻した。
うーん。いいけど。初日にお腹は壊したくないのだ。

道路わきでクルシュを売る出店

18:00にはナリンに到着して、アレクセイの友達が経営するというゲストハウスに宿泊した。

到着すると、さっそくレナが夕食を作ってくれると言って、ゲストハウスのキッチンで料理を始めた。とりあえず、手伝えることが無さそうだったので、ふらっと街に出ることにした。
マーティンとカーチャ、ギルバートも、散歩に出かけていた。

ナリンは、キルギスの南のほうで乗馬や登山をする外国人が宿場に使っているようで、英語の表示があるホテルやゲストハウスがちらほら見られるけど、基本的には田舎町だった。
スーパーや店の看板が地味で、入り口も閉まっていて、外から見るとあんまり店っぽくない。18:00にはほとんどの店が閉まるので、この日は小さな売店くらいしか営業していなかった。
ナリンの町。左の建物はスーパーマーケット。地味~。

80ソムのビールを買ってゲストハウスに戻り、しばらくすると夕食ができた。レナは慣れないキッチンでいきなり12人分の食事を作ったので、勘が狂ったらしく、スープの量が極小だったけど、味は良かった。レナの料理はいつもやさしい味で、この日以降はいつもボリューム満点だった。
ゲストハウスの食堂


夕食を食べ始めたのが21:00ごろで、みんな疲れていて、食後はそれぞれ散り散りに部屋に帰って就寝した。標高2000mの町なので、夜はけっこう冷え込んだ。

このゲストハウスは、シャワーが母屋に1つしかないので、翌朝は早起きしてシャワーを浴びに行った。私が入ろうとしたら、ちょうどセシリオと鉢合わせした。セシリオは昨日の朝にスペインからキルギスについたばかりで、長旅で疲れているだろうと思ったけど、シャワーの権利は譲れない!と思って笑顔でシャワールームを奪い取った。
もちろん、できるだけ早めに浴びて、あとはセシリオに譲ったけど、若き日の私なら、もじもじしてシャワーは諦めただろう。この図太さはオバチャン効果か、探検家のサバイバル力か?

この日は9:20には朝食も済ませて出発したが、途中、アレクセイが乗る4WDとはぐれて、私たちのミニバスは、滝のある谷の入り口で1時間ほど待機した。
ここには洞窟から水流が流れ出す滝があって、みんなワクワクして見に行ったのだけど、洞窟は小さくて入れなかった。
洞窟から滝が流れ出すワクワクポイント

ここで気づいたのだが、セシリオが着ているTシャツにはLA VENTAのロゴが入っている!LA VENTAはイタリア人が中心の探検チームで、北極やナイカ洞窟やギアナ高地など、世界中でかっこいい洞窟探検をして、さらに写真や映像まで作っているのだ!あこがれのLA VENTAのメンバーに会えるとは!と、いきなり一人で大興奮!
聞いてみると、セシリオはLA VENTAのメンバーではないけど、LA VENTAが行ったメキシコのチャパスの探検に参加したらしい!やばい、かっこいい。
もう洞窟が見つからなくても満足かも。

その後、さらに南へ車を走らせると、中国との国境に近づくので、軍のチェックポイントを2か所通過しないといけない。事前の許可書が必要で、アレクセイが全員の許可書を用意してくれていた。
1つ目のチェックポイントで、書類のチェックをして、2つ目のメインチェックポイントでパスポートと各自の顔を見比べて確認すると言う念の入りよう。車から降りなくてもいいけど、兵士は真面目に書類を確認する。
敵国?アメリカ国民のギルバートは、ちょっとみんなよりも長めに書類を確認されていた。実は、許可書の発行も、みんなよりも時間がかかったらしい。冷戦時からの確執は根深い。

チェックポイントを無事に抜けると、いよいよコキヤだ。標高は3000m。
第一のキャンプサイトには15:30に到着した。
川岸のだだっ広い平地に、ユルタという移動式住居の宿を経営している遊牧民の家族がいて、その隣にキャンプを作った。この家族の子供は、小学生くらいだけど、平然と大きな馬を乗りこなす。彼らが馬を走らせる姿は、間近に見るとなんとも美しくて、見とれてしまう。
大きな馬を乗りこなす少年。走る姿は美しすぎて写真撮れなかった。

全員のテントと、食堂の大きなテントを設営しても、まだ17:00で、日没の遅いキルギスではまだ時間がある。
私と吉田さん、セシリオとミゲルは、アレクセイと一緒にキョルス湖へ下見に行くことにした。キョルス湖はキャンプサイトから6kmほど南にある。
4WDで川をいくつも渡って行くが、あまりの悪路で湖の手前で車はストップしてしまい、あとは徒歩で向かった。
川を越えるのに一苦労
渓谷の川の始まりのところに、大量の落盤がたまっていて、それが自然のダムとなってキョルス湖ができたのだ。落盤が散らばる丘を抜けると、突然、湖が現れる。
落盤が散らばる丘
アレクセイは事前のメールで、夏は湖の水が枯れて、歩いて対岸まで行けると言い張ったけど、案の定、キョルス湖はきれいな青い水をたたえていた。
歩いて行ける範囲でも、いくつか洞窟っぽい穴があったけど、どれも立派な岩陰だった。

突然現れるキョルス湖。左側に黒く見えるのは大きな岩陰。
キャンプに帰ると、レナが夕食を用意してくれていた。
食事の後、翌日の計画について話し合った。
私と吉田さん、セシリオとミゲルはキョルス湖を越えて対岸の洞窟を確認に行くことになった。アレクセイの持っている2人乗りのゴムボートと私が持って行ったパックラフト(1.5人乗り?)を使って、湖を渡るのだ。
マーティンとカーチャ、ギルバートは、道路から山の中腹に見えた大きな穴へ行くルートを探しに行く。マーティンは、3DやVR、ドローンなど最新技術を駆使した映像を作る写真家で、ナショナルジオグラフィックの仕事もしたことがある有名人。ドローンで3D写真を撮影して、山の上にある穴が奥に続いているか、確認できるのだ。彼の技術とハイテク装備の数々は、遠征中に大活躍した。
翌日の計画を話し合う
さて、明日に備えて寝ることになった。
まだ夏の終わりのキルギス。昼間は15~20℃くらいの気温で快適なのだけど、日が落ちると急激に気温が下がり、標高3000mのコキヤは夜には氷点下10度になる日もある。キャンプサイトは標高3300mだった。初日の夜、氷点下でのテント泊の洗礼を受けた。何も考えずに持ってきた寝袋ファイントラックのポリゴンネストは、夏秋用で、使用できるのは7℃までだった...。

ダウンジャケットとフリースを着て寝袋に入ったけど....寒い!
死ぬかもしれない…。
あわてて、非常用に持っているレスキューシートで寝袋を包むようにしたら、温かく寝ることができた。レスキューシートは、ケイビングのときも待機中に暖をとるため使うので、バッグの中とヘルメットの中に常備している。
私は登山はあまり行かないので、こんなに標高の高い場所でキャンプしたことがなかった。翌日からは、徐々にごく軽い高山病の症状が出たり、標高が体に与える影響を実感できて、いろいろと良い経験になった。


2018年10月16日火曜日

キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 2

キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 2

近野由利子

キルギスに到着したのは、日本を出発した翌日の9/5、夜明け近い5:30。
キルギスの首都ビシュケクにあるマナス国際空港に到着した。
空港は小さくてシンプル。朝早いのに、到着ゲートにはたくさんのお迎えの人とタクシーの運ちゃんが集まっていた。
探検は9/6朝の出発なので、到着した日はアレクセイが予約してくれたホテルで待機する。ホテルからお迎えの車が来ているはずなので、お迎えの人たちが持っている名前の書いた紙をひとつひとつ見て歩く。
ロシア人(キルギス人だけど)みんなデカい!紙が見えない!
私が近づくと、みんな紙が見えやすいように、下のほうに向けてくれる。その中から無事に自分の名前を発見した。
吉田さんは、姿が見えないと思ったら、知らないうちに白タクのおじさんに付き添われていた。
お迎えのタクシーの運ちゃんはロシア系の青年で、英語は話さない。早朝のビシュケクを、無言の運ちゃんが運転するタクシーで走り、6:00すぎに市内のホテルに到着した。

ホテル(Asian Mountains Hotel)は街はずれの線路わきにあった。場所が悪いけど、山小屋風の小さなかわいいホテルで、デスクの人も親切だし、すごく良い印象だった。たまに電車が通るときに騒音があるけど、それほど気にならない。電車はモスクワからキルギスのリゾート地イシククル湖まで走っているというので、この電車はモスクワから来たのかなーなどと思うと旅情を感じて、なかなか良かった。
ホテルはAsian Mountains Hotelという名前で、名刺もそうなっているけど、なぜかネットの地図で探すと、Salut Hotelとなっている。近所に、別のSalut Hotelがあるので、混同されているのかもしれない。
私たち以外のゲストもみんな、登山やアウトドアアクティビティで郊外へ旅する前にビシュケクに滞在している外国人のようだった。
ホテルで飼われている猫嬢。白足袋履いててすっごくかわいい!

チェックイン後、14:00からホテルの会議室で、探検の内容についてのミーティングがあるけど、それまではヒマ。少しだけ仮眠してから、街に出てみた。
目的は 1.両替、2.水を買う、3.WiFiルーターとSIMが売ってる場所を確認。

1.両替については、街にいっぱい両替所があるし、銀行でも両替できる。ただし、使えるのはドル・ユーロ・ルーブルだけ。日本円は両替できない。
キルギスの通貨は「ソム」で、50ドル=3432ソムだった。だいたいどこでも同じくらいのレートだった。

2.ビシュケクの町はとても都会で、スーパーも小さな商店もたくさんあって、買い物には困らなかった。500mlのペットボトルの水は、21ソム(約40円)だった。

3.SIMはキオスクで売っていたけど、WiFiルーターは、見つからなかった。ネットでは、百貨店で売ってると書いていたのだけど、百貨店が見つからなかった。なにしろ、文字がアルファベットじゃなくて、キリル文字なので、簡単な単語もわからない。地図を見ても、お店マークは書いてるけど、どんな店なのか、名前から想像することができない。
どっちみち、翌日からは電波が通じないエリアに行くので、WiFiルーターなんか買っても無駄だと思って、すぐにあきらめた。
WiFiルーターは、吉田さんがいつも欲しがるので探してみることにしている。彼は、仕事が忙しいので、少しでもいいからWiFiのある場所にいたいらしい。大変です。

11:00ごろに空腹になったので、ホテルに帰って、吉田さんを誘ってホテルのランチを食べた。吉田さんは、ずっと部屋で仕事をしていたらしい。
ホテルのランチは、ボルシチとサラダとパン(黒パンか白パン選択)。ボルシチは肉の出汁が効いていて、野菜たっぷりで、すごくおいしい。日本人に合う味だと思う。どの店でもボルシチはだいたいおいしかった。
その一方、サラダは、キャベツが大きすぎるし、ドレッシングが工夫のない味で、いまいちだった。黒パンは、ドイツの黒いパンを想像して食べたら、何だか違っていて、味のないパンだった。
吉田さんは大半を残して部屋に去って行き、私はいつものとおり残りを片付けた。吉田さんは日本食をこよなく愛するがゆえに、海外では極端に小食になるのだった。私はけっこう大食いなので、いつも吉田さんの食べ残しをあてにしている。

14:00になったので、ホテルの地下にある会議室へ行った。
ホテルの地下には、アウトドアツアー会社のオフィスと、会議室があった。ホテルのゲストたちはここのツアー会社のお客さんのようだ。
会議室は10人くらいでいっぱいになりそうな小さな部屋で、四角く配置した長机の前にホワイトボードが立ててあって、ホワイトボードの前にロシア系の男の人が2人と、アジア系の男の人が一人立っていた。
長机には、若いアジア系の男の人が座っていて、どうやらこの人は探検の参加者らしい。

前に立っていたアジア系の人が「さすが、日本人は時間に正確ですね」と英語で話しかけてきた。
この人は通訳のトゥルンで、英語・ロシア語・ドイツ語・日本語が話せるマルチリンガルなキルギス人だった。おなかがかなり出ていて恰幅が良いので一目見たら忘れないし、話してみるとすごくユーモアがあって博識なので、チームの人気者だった。酔っぱらうと少し話がしつこいのが玉に瑕だけど。
前に立っているロシア系の若いほうの男性がアレクセイで、年配の人は地質学者のセルゲイだった。あとで知ったのだが、この二人は親子らしい。
あとから、スウェーデン人のカップルがやってきた。ネイチャー系写真家のマーティンと、ERの医師のカーチャだ。二人は絵に描いたような美男美女カップルで、陽気で賢いのでチームのムードメーカーだった。
最初から会議室にいたアジア系の若者は、アメリカ人のギルバートで、ケイビングは最近始めたばかりとのことだった。両親はベトナムとミャンマーの少数民族の出身だそうで、見た目はアジア人だけど、中身は完全にアメリカ人だった。アメリカの政府機関で、エンジニアとして働いているらしくて、めちゃめちゃ賢いし、若いのに人間ができている。遠征中、ずっと吉田さんにちょっかいかけられていたけど、すべてを受け流して、笑顔で対応していた。
あとは、スペイン人とブルガリア人が参加するのだけど、彼らは遅れてくるそうなので、マーティンとカーチャが登場したところでミーティングが始まった。

探検についてのミーティングはアレクセイとセルゲイの説明を、トゥルンが通訳して行われた。アレクセイがキルギス洞窟保護基金の事務局長で、今回の探検を計画した。ロシア版ダニエル・クレイグって感じの渋いイケメンで、英語は6カ月前から勉強し始めたばかりでほとんど話せない。どおりで、出発前のメールのやりとりが要領を得ないはずだ。
セルゲイはキルギスで最初のケイバーで、今も積極的にキルギスの洞窟を調査している。セルゲイはほとんど英語は話せない。
二人がコキヤの地質と過去の資料について説明し、探検の行程について提案し、そのあとはみんなで装備や目的について簡単に話し合った。
しかし、みんな初めて会って、キルギスも初めてなので、基本的に計画はアレクセイの提案どおりに進めるしかない。
みんなで地図を見て話し合う

このあと、アレクセイに探検に必要な費用を支払って、いったん解散した。探検の出発は、翌日10時ごろ、スペイン人の到着後となった。

ちなみに、アレクセイに支払った費用は、720ドル。2週間の交通費と食費、その他装備も全部アレクセイが用意してくれたので、結果的に高くなかったと思う。しかし、探検と言って参加者を集めつつ、ある程度の利益を見込んでいるのは間違いないようだ。ただ、完全に金儲けでやってるのかと言うと、それにしてはアレクセイとセルゲイは本当にキルギスの地質や洞窟をよく調べている。私の印象では、この活動で資金を得て、キルギスの洞窟の保護に役立てたいと考えているのかなと思った。
調査も進めつつ、将来の資金も集められて、キルギスの良さも宣伝できるし、いいんじゃない?金を儲けることは悪いことじゃない。
実際、キルギスの洞窟や自然は、観光化の目的や、地元の人の認識不足のため、少しずつ破壊されているので、ネイチャーツアーとして洞窟を活用するにしても、保護は進めたほうが自国の利益になることは間違いない。

ミーティングは16:00ごろに終わって、参加者はそれぞれ、買い物のために町に出て行った。私と吉田さんも町に出たけど、途中でギルバートに会ったので、3人でアウトドアショップに行った。ギルバートは防寒着をあまり持ってきていなくて、心配だからダウンジャケットを買うと言う。
アレクセイによると、標高の高いところでは夜は氷点下10度まで下がるらしい。しかし、キルギスのアウトドアショップで売っているものは98%がロシアのRedFoxというメーカーのもので、値段は高くないけど、かなり型遅れで色も悪い。テントもジャケットもザックも、全部RedFoxばっかりなのだ!
ギルバートは店頭ですごく悩んで、「あー、ダウン持ってきたら良かったー」とこぼしつつ、1万円くらいのモッコモコした芥子色のダウンジャケットを買った。でも実際にフィールドでは毎晩すごーく寒かったので、ギルバートがRedFoxを着ない夜は無かったし、後悔してなかっただろう。
私と吉田さんは、韓国製のバーナーのガス(@400ソム/約650円)を買ったけど、こっちはほとんど使わずに終わって、最後はアレクセイにプレゼントして帰ってきた。

買い物の後、私と吉田さんは、ネットで調べた日本料理店へ夕食に行った。
吉田さんは、日本食をこよなく愛するので、海外では必ず日本食料理店をチェックする。ビシュケクではFURUSATOという、地元のセレブに人気の店に行ってみた。
ネットでは予約しないと入れないときがあると書いてあったけど、運よくテーブルが空いていた。
一人一食20ドルくらいで、ボリュームたっぷり、味も最高だし、オーナーも店員もサービス満点で、今まで行った海外の日本食料理店でも最高レベルだった。特にすごいのが、寿司についてくるガリ!ガリは、海外では再現しにくいみたいで、だいたいの店で謎めいた味になるのだけど、この店のガリは、日本と同じ味!
オーナーにこの感動を伝えたら、ガリのおかわりをくれました。
ぜひ、ビシュケクに行ったら、みんなFURUSATOに行ってほしい!

と感動を抱きつつ、この日はホテルに帰って、だらだらして過ごした。
翌日は探検に出発だけど、遅めのスタートだから、パッキングも明日やりなおせばいいやーとのんびりした。




キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 1

キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 1

近野由利子

2018年9月はキルギスへ洞窟探しに向かいました。キルギスの場所はこちら。
カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、中国に囲まれています。キルギスも昔はキルギスタンって国名だったので、今でも、よく古い名前が使われています。「スタン」はペルシャ語で「~が多い場所」って意味らしい。「キルギス人が多い場所」って感じですかね。
中国との国境側には、有名な「天山山脈」という山があります。かの有名な三蔵法師が、中国から山越えでキルギスに入国したと伝えられる、ありがたい山です。一番高い山は7000mを超し、かなり遠くからでも目をひく、国のシンボルのような山のようです。
かつてロシアだったこの辺り、私はロシアから分かれた国ってイメージしかなかったのですが、キルギス人は歴史のある人種だそうで、誇り高い民族でした。

基本的に海外へ行く理由は、洞窟を探すためで、洞窟がたくさんありそうな国は、何度も行くことにしています。2016年からは毎年ラオスに通っています。
ちょっと他の国も開拓したいなと考えて、今回は予備調査としてキルギスに行ってみました。結論として、たぶんキルギスにはもう行かないと思う。なので、記録としてブログに書いておこうかと。


なぜキルギスか?

キルギスをターゲットにした理由は単純です。
The Union Internationale de Spéléologie (UIS)という、”世界洞窟協会”みたいな集まりがあって、そこのウェブサイトのイベントカレンダーを見ていたら、キルギスの洞窟保護団体が探検の予定を公開していて、「参加者募集中」と書いてあったのです。
(おお!)
と思って、すぐにメールしてみたら、
「ぜひともご参加ください」
と返事がきた。
「じゃあ、行きます」
と返事しちゃったのでした。これが6月か7月くらいだったと思う。
このへん、非常に安易で無計画でした。いつものことですが。

先方のウェブサイトを見ると、コキヤ(Kok-kiy)というエリアが未探検だと書いてて、写真を見てもすごい絶景なので、そこに行きたかったのだが、あいにくコキヤに行くプロジェクトは予定がないそうで、別のエリアにいくスペインチームがいるから彼らと同行してはどうかと提案された。
2016年にスペインに行ったときから、スペイン人ケイバーの素朴な人の好さを大好きになったので、喜んで同行すると返事した。

数週間後、近所に住む探検仲間(吉田さん)に会ったとき、自慢してやろうと思って「私、キルギス行くんだー!」と言ったら、「俺も行くー!」となって、同行することに。吉田さんが、日本人チーム(二人ですが)で行きたいとか、未探検のコキヤに行きたいとか、あれこれ言うので、キルギス人と交渉してみたら、「じゃあ、コキヤのプロジェクト作るよ」とすんなりとコキヤの絶景に行けることになってしまった。
Kok-kiyの絶景 
(from Website of the Fund of Preservation and Exploration of Caves)

吉田さんは、もう20年来のつきあいの探検仲間で、いつも面倒臭いことばかり言うのだけど、結果的に良いときもあるので、バカにできないのです。


いろいろあった

キルギス遠征は、9/4出国 9/19帰国で計画した。
私は3月に一ヶ月間、ラオス遠征に行ったときの経済的打撃が大きく、仕事とバイトでバタバタしながら9月まで過ごしていた。合間には、最近ゲットしたパックラフトで川遊びを開拓したりもしていた。
パックラフトで川遊び(北山川)


たまに、キルギスには質問や、こちらの装備リストを送ったりして、連絡していた。キルギス側は、キルギス洞窟保護団体のアレクセイ(Alexey)が窓口だが、いつも何だか返事があいまいで的を得ない。外国人とのやりとりは、いつもそんな感じになるのだけど、ちょっと心配になった。
コキヤを調べてみた。なんか写真を見ても洞窟なさそう....。
でも、地質図を見ると石灰岩だから...。今まで見たことない場所だから、行ってみないとわからないかな...。(しかし、洞窟なさそう...。)
それより、アレクセイがすごく悪いやつだったらどうしよう、と不安になったりしたけど、今回は吉田さんが一緒だから、何かあっても安心だ。一人だったらもっと不安だったけど。

さらに、探検スケジュールの相談をしていたら、アレクセイが知らないうちに他の国からも参加者も集めていたことが判明した。私と吉田さんの二名の日本人以外に、アメリカ人1名、スペイン人2名、スウェーデン人2名、ブルガリア人1名のインターナショナルチームになっていた。
個人的には、それは全然問題ないし、むしろ人が多いほうが楽しいのだけど、出発の2週間前とかに言うなよ、と思った。

出発の9/4、日本列島には2018年最大級の台風21号が迫ってきていた。
台風の報道も前日からすごい剣幕で、私も本当に出国できるのかと心配で、暇さえあれば天気予報や航空会社の情報サイトをチェックしていた。
キルギスへは、ロシアの航空会社エアロフロート(Aeroflot)で成田~モスクワ、モスクワ~キルギスと飛ぶ。成田発は12:30の予定で、台風の上陸は午後になる予報だったので、午前中の国内移動(愛知~東京)もギリギリセーフとなり、問題なく出国できた。少し飛行機が揺れたくらい。

モスクワでトランジットしていたら、国内にいる友人から、関空の橋が壊れたとか、いろいろと台風情報が送られてきて、なんだか焦った。
こんなところ(モスクワ)で、コーヒー飲んでダラダラしていていいのか、と。

私は気づいていなかったのだけど、モスクワはキルギスよりもかなり北西に位置するので、モスクワ経由のこの経路は、ずいぶん遠回りだったのだ。だけど、これ以外はほとんど中華系の航空会社で、乗り継ぎが悪い割には安くなかった。ほかの参加者に聞いたら、トルコ航空で来た人が多かったように思う。

そういえば、じつは、出発の前日に吉田さんと、ラオスの探検のことでケンカになって、微妙なムードだったのだ。どちらも意地っ張りなので、ちょっとどうなるかなーと思ったけど、そこはもう20年来の探検仲間なので、何も問題なかった。

とにかく、出発前はいろいろとザワついた。
今思えば、この遠征の全てを示唆していたとしか思えない。

2017年6月1日木曜日

洞窟探検はツライという話

え~このブログの記事があまりにもマニアック過ぎるということで、たまには楽しい活動の報告をさせていただこうと思います。by オカザ


今回は、奈良県K村K谷にある洞窟で、未測量部分の測量と、最奥の上層部分に登ってルートが続いているかどうかを見てくる活動でした。参加者3名。

ケイビング(洞窟探検)には、「ファン」と「探検」という大きなくくりがあって、「ファン」はすでに知られている既存洞に行って洞窟を楽しむもの、「探検」は新しい洞窟や新しいルートを開拓し、測量して報告できる形にまとめていくものです。もちろん「ファン」も楽しいですが、前人未踏の空間を我がモノにしていく「探検」の方がワクワク度が高いです。

1人3役測量
さて、上層には登る人とロープで確保する人の2人が必要。で、私は1人余ったので単独で測量することに。本当は地図をスケッチする人、ポイント決める人、測る人の最低3人でやるものなんですが、このブログで紹介してきたペーパーレス測量だと、面倒だけど1人で3役できてしまうのでした。

ちなみに、この洞窟のハイライトは「水くぐり」です。元々完全に水没していたところを仲間が掘って水深を下げ、10センチくらい顔が出せるところができたので、今では通り抜けられます。全身濡れますけれども。
測量計を持ったまま、水の冷たさにギャーとか叫んでも、誰ひとり共有する人が近くにおらず、空しいな。

謎のテンション
水流に沿って黙々とソロ測量を進めていると、17時過ぎに奥から2人が戻ってきました。登攀ルートはまだ続いていて、明日も登るとか。おつかれさまです。こっちもまだ半分くらいです。寒い。はよ出たい。もちろん出る時も水をくぐる。

川で冷やすはずだったビールをうっかり洞内に持ち込んでいたChikanoさん。今日は外でテント泊なので洞内では呑みません。
1日目の活動終わり洞外へ。

いつもなら集落まで下山してお店でご飯食べるけれど、運転する人は酒を飲めないので、今回はその場でご飯が食べられるようにもつ鍋の準備をしていきました。お肉屋さんでもつ鍋用の味付けしてもらったので、あとは野菜と一緒に放り込むだけ。簡単。
たまにはこういうのも良いかな。
キムチは入れた方がおいしい

2日目。早目に22時ごろ就寝したものの、やっぱり疲れていたのか起きたら8時でした。

あぁまたずぶ濡れかと溜息をつきつつ、せっかく始めた測量だしと続きをやりに今日もぼちぼちと入洞。
2人はまだ登攀の方に時間がかかりそうなので、面倒なループもソロで測量し終え、さすがに狭くて痛い支洞を攻めるのは途中で諦めたけれど、順調に進んで14時くらいに2人のいる最奥に到達しました。登攀組もアンカーがなくなったので、それから間もなく降りてきて、2日間の全活動を終了しました。


で、たまには「楽しい」活動の報告でもしようかなと思ったのですが。。。

おおむね寒くてつらい活動でした💀


洞窟探検は、隊長の言葉を借りれば「やせがまん強い」人に向いているそうです。だからケイバーには「負けずぎらい」の人も多い気がします。

あと、個人的な感想ですが、洞窟の中って音や色や匂いが極端に少ないし、思考的にも「寒い」とか「お腹すいた」とか「次の測量ポイントは」とか、すごく単純で限定的なことしか考えていないので、外に出ると急に日常の色んなものがビビットで眩しくなったように感じられます。

なので、「やせがまん強さ」だけは自信あるという人で、なんだか日常がつまらんなあという人がいたら、ぜひ洞窟探検へ。あなたにぴったりです。一度はどうぞ!


2017年5月20日土曜日

ペーパーレス洞窟測量 vol.5 DistoX2裏メニュー

相変わらず酒と洞窟の日々を過ごしているオカザでございます。
本日は、測量計DistoX2の応用操作編についてご説明いたします。そもそも基本編をやってないって?まあ、基本操作は感覚的にお分かりいただけると思います(こちらの記事も参照)。測量時はほぼ赤いボタンしか押しませんね。

ところが、たまにうっかり変なボタンを押してしまって、知らぬ間にモードが変わっていたりします。そんな時でも焦らず!落ち着き払って対応できるよう、以下に裏技をメモしておくことにします。
CLR と SMART 同時押し
キャリブレーションモードON/OFF切り替え。キャリブレーションについてはこちら(Topodroid)またはこちら(PocketTopo)の記事を参照。

CLR と FUNC 同時押し
ブルートゥースON/OFF切り替え:OFFにすると画面上のブルートゥースボタンが消えます。)

SMART と ― 同時押し
トリプルショットのチェック機能ON/OFF切り替え:チェック機能をONにすると画面左下に「▲」マークが表示され、側線を書くために3回同じポイントを計測した時、その誤差が基準値(距離5㎝、角度3%)以内だと、3回目の計測でビープ音とともに数値の右側に合格印の「三」が表示されます。便利な機能なのでONにしておくことをオススメします。(合格サインでなくても、端末にデータを送った時にはちゃんと側線になっています。精度を求める方向け。)


MEM と ― 同時押し
バックサイトモードON/OFF切り替え:逆から計測する時に180度逆の方位で出してくれます。


MEM と FUNC 同時押し
サイレントモードON/OFF切り替え:サイレントモードにすると、データの数をカウントする画面右上の数字が---になり、データが端末に送信できなくなります。どんな時に使うのか不明。


REF と ― 同時押し
ビープ音のON/OFF切り替え

REF と + 同時押し
液晶のライトON/OFF切り替え

CLR と MEM 同時押し
残っているデータを全削除

CLR と FUNC と MEM を5秒間同時押し
初期化。データが削除され、キャリブレーションもリセットされます。

ちなみに、私はこの記事を書くために、うっかり初期化ボタンを押したので、来週の活動はキャリブレーションからやり直しです😕
…と思いましたが、その場合は、端末内のcalibration coefficientをDistoX2へUploadし直せば良いのでした。まだまだ手探り状態です。

洞窟の測線をGoogle Earthで見よう!

みなさん、洞窟測量してますか~?👂👂👂

測量した図面をニヤニヤと眺める以外に、楽しむ方法があります。
洞窟測量ソフトCompassを使って、Google Earthに洞窟の側線を重ねると、楽しみが倍増すること間違いなし!
まず必要なのは、洞窟測量ソフトCompassです。

◇洞窟測量ソフトCompass
どうやら、アメリカのほうでよく使われている測量ソフト。日本では数人しか使っていないと思う。シェアウェア。25ドルから。無料トライアル可能。
 ※ダウンロードは「Getting Compass」というメニューから。紛らわしいアイコンがたくさんあります。

◇重要!◇
測量するとき、洞口のポイント0でGPSやスマホで座標をとっておいてください。ポイント0で測れないときは、できるだけ洞口の近くで測りましょう。

①準備
まず、測量した数値をCompassに入力してください。
ここの説明はしません。ソフトウェアの説明になるので、面倒くさいし、話が長くなるから。
※「Right, Left, Up, Down」の数値も入れたほうが、洞窟の画像が立体的になるのでおすすめです。でも、私はいつも面倒くさくて入れてません。

②二カ所のウィンドウで座標を入力
1. Project Managerの画面で、測量のフォルダを選び、ダブルクリックします。

2. 表示されたノード設定ウィンドウの「Links/Fixed Stations」をクリックします。

3. 表示された画面に座標情報を入力します。
なぜかわかりませんが、UTMの数値を使うとうまくいきます。UTMの数値は、Compass上でも調べることが可能ですが、ネットでも換算できるサイトがあるので、お好きな方法で調べてください。ゾーンコードも忘れず調べてください。
入力したらOKをクリックして、ウィンドウを閉じます。

4. Project Manager画面で、プロジェクトを選びながら、「Set Base Location」のボタンをクリックします。
プロジェクトを選びながら、右クリックしても同じメニューが表示されます。

5. 手順3で入力したUTM座標をもう一度入力します。
UTM以外の数値は自動で換算数値が入るはず。測地系は手動で入れてください。
「OK」をクリックしてウィンドウを閉じます。

③KMLファイルをエクスポートする
1. Project Managerの画面で、「Process」ボタンを押します。
上のボタンでも、下のボタンでも同じです。
こういう画面は、「Yes」をクリック。

2. Cave Viewerで洞窟のシルエットが表示されます。
「File」-「Export」-「Export 3D format」をクリックします。
画面で見にくいですが、赤いラインが洞窟の側線です。頑張って「Right, Left, Up, Down」を入力すると、もっと3Dっぽいシルエットが表示されます。

3. 表示されるエクスポートウィンドウの「KML」タブをクリックします。

4. 座標の測地系を選択して、「Export KML File」ボタンをクリックします。
右側のLine Color、Fill Colorで、書き出すイメージの色を選択できます。

5. 座標の入力がうまく行っていると、このようにKMLファイルの保存ウィンドウが表示されます。
エラー画面がでるときは、座標の入力に問題があります。

④書き出したファイルをGoogle Earthで確認する。
Google Earthをインストールしている環境で、エクスポートしたファイルをダブルクリックすると自動でGoogle Earthが開きます。

オレンジのラインが洞窟のイメージです。
すごーい!道路(8号線)を横断して、隣の山まで行っちゃったよ!
まじすげー。
と、興奮することができます。

え?なんだかよく分からない?
そんなこと言うならやらなくてよろしい!






2016年4月7日木曜日

ペーパーレス洞窟測量 vol.4 ”キャリブレーションTopoDroid版”

いつも洞窟のことで頭がいっぱいのオカザです。
チカノさんから始まった我がチームのペーパーレス測量ですが、先日ようやく基板とバッテリーが届き、色々ありましたが無事に私の測量計DistoXもペーパーレス対応になりました。わーい。
しかし、まだチカノさんも苦戦したというキャリブレーション作業が残っています。これが面倒で、ちゃんとマニュアルを読んで準備していかないと手こずります。チカノさんはPDA上でPcketTopoというアプリを使っていますが、私はAndroid携帯を端末としてTopoDroid(トポドロイド)というアプリを使っているので、TopoDroidのバージョンをメモしておこうと思います。ちなみに、TopoDroidは日本語対応していないので全部英語です。英語が分かる方は以下のマニュアルが参考になりますが、2016.4現在のバージョンは3.1のため、以下のページは2.5と2.7についてなので情報がやや古いです。

http://www.gzluna.com/cave/distocalibnew.html
http://marcocorvi.altervista.org/caving/apps/tdmanual/index.htm

準備したもの:
①8方向がわかる板(カッターマットに線を引いた。もう少し固いものが良かった。)
②三角定規(測量計を45度にするため、立てやすいように二個を組み合わせた。)
③基盤を交換したDistoX
④TopoDroidをインストール済みのAndroid携帯

①DistoXをキャリブレーションモードにして、全56ショットを取る。
ここはチカノさんの記事④~⑥と同じですので省略します。
ちなみにどの方向からショットを取り始めるか、順番はあまり関係ないみたいです((追記)キャリブレーションの最初の16ショットは、水平方向に取るのが良いそうです)。あと、取り間違えてしまっても、あとでデータを消せますので、とりあえずすべてのショットを取りましょう。

(注)ショットを取る作業は本来は磁場の影響の少ない洞窟内でやります。


②DistoXはキャリブレーションモードのままで、データをAndroidへ転送します。TopoDroidoを起動し、左上の赤いDistoXマークをタップ。

Bluetoothで接続するDistoXのアドレスを選びます。








接続したら、三つ目の歯車マークをタップすると、「Calibrations」の表示がでます。










「New Calibrations」をタップし、名前を適当に付けて、2番目のフォルダーマークをタップします。











Calibrationの画面になったら、左上の↓ボタンをタップでダウンロードを開始します。
DistoXとつながっていれば、DistoXのbluetoothマークが点滅し、56のデータが転送されます。
















③データをグループ分けし、係数を計算して、DistoXへ戻す。
難しそうですが、ボタンを順番にタップしていくだけです。
3番目の「1.2.3...」をタップして、OKをタップすると、自動で4データ毎にグループ分けしてくれます。グループ分けが終わると、データが青とピンクの文字に変わります。各データをタップして、手動でグループ分けをしたり、いらないデータを修正・削除することもできます。
一覧の数値は
 ID/<グループ番号>/方位/斜度/回転度/エラー数値(係数計算後に表示)
の順番で表示されています。












次に5番目の歯車マークをタップし、係数を計算します。
下に出てくるAverage Errorの数値が0.5度以下なら成功です。ちなみにこの時は1.79もありますから失敗です。


Uploadボタンを押すとWrite calibrationと出ますので、元の画面に戻ります。
最後に右端の赤くなった↑ボタンでDistoXへデータを転送して終了です。