2018年10月16日火曜日

キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 2

キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 2

近野由利子

キルギスに到着したのは、日本を出発した翌日の9/5、夜明け近い5:30。
キルギスの首都ビシュケクにあるマナス国際空港に到着した。
空港は小さくてシンプル。朝早いのに、到着ゲートにはたくさんのお迎えの人とタクシーの運ちゃんが集まっていた。
探検は9/6朝の出発なので、到着した日はアレクセイが予約してくれたホテルで待機する。ホテルからお迎えの車が来ているはずなので、お迎えの人たちが持っている名前の書いた紙をひとつひとつ見て歩く。
ロシア人(キルギス人だけど)みんなデカい!紙が見えない!
私が近づくと、みんな紙が見えやすいように、下のほうに向けてくれる。その中から無事に自分の名前を発見した。
吉田さんは、姿が見えないと思ったら、知らないうちに白タクのおじさんに付き添われていた。
お迎えのタクシーの運ちゃんはロシア系の青年で、英語は話さない。早朝のビシュケクを、無言の運ちゃんが運転するタクシーで走り、6:00すぎに市内のホテルに到着した。

ホテル(Asian Mountains Hotel)は街はずれの線路わきにあった。場所が悪いけど、山小屋風の小さなかわいいホテルで、デスクの人も親切だし、すごく良い印象だった。たまに電車が通るときに騒音があるけど、それほど気にならない。電車はモスクワからキルギスのリゾート地イシククル湖まで走っているというので、この電車はモスクワから来たのかなーなどと思うと旅情を感じて、なかなか良かった。
ホテルはAsian Mountains Hotelという名前で、名刺もそうなっているけど、なぜかネットの地図で探すと、Salut Hotelとなっている。近所に、別のSalut Hotelがあるので、混同されているのかもしれない。
私たち以外のゲストもみんな、登山やアウトドアアクティビティで郊外へ旅する前にビシュケクに滞在している外国人のようだった。
ホテルで飼われている猫嬢。白足袋履いててすっごくかわいい!

チェックイン後、14:00からホテルの会議室で、探検の内容についてのミーティングがあるけど、それまではヒマ。少しだけ仮眠してから、街に出てみた。
目的は 1.両替、2.水を買う、3.WiFiルーターとSIMが売ってる場所を確認。

1.両替については、街にいっぱい両替所があるし、銀行でも両替できる。ただし、使えるのはドル・ユーロ・ルーブルだけ。日本円は両替できない。
キルギスの通貨は「ソム」で、50ドル=3432ソムだった。だいたいどこでも同じくらいのレートだった。

2.ビシュケクの町はとても都会で、スーパーも小さな商店もたくさんあって、買い物には困らなかった。500mlのペットボトルの水は、21ソム(約40円)だった。

3.SIMはキオスクで売っていたけど、WiFiルーターは、見つからなかった。ネットでは、百貨店で売ってると書いていたのだけど、百貨店が見つからなかった。なにしろ、文字がアルファベットじゃなくて、キリル文字なので、簡単な単語もわからない。地図を見ても、お店マークは書いてるけど、どんな店なのか、名前から想像することができない。
どっちみち、翌日からは電波が通じないエリアに行くので、WiFiルーターなんか買っても無駄だと思って、すぐにあきらめた。
WiFiルーターは、吉田さんがいつも欲しがるので探してみることにしている。彼は、仕事が忙しいので、少しでもいいからWiFiのある場所にいたいらしい。大変です。

11:00ごろに空腹になったので、ホテルに帰って、吉田さんを誘ってホテルのランチを食べた。吉田さんは、ずっと部屋で仕事をしていたらしい。
ホテルのランチは、ボルシチとサラダとパン(黒パンか白パン選択)。ボルシチは肉の出汁が効いていて、野菜たっぷりで、すごくおいしい。日本人に合う味だと思う。どの店でもボルシチはだいたいおいしかった。
その一方、サラダは、キャベツが大きすぎるし、ドレッシングが工夫のない味で、いまいちだった。黒パンは、ドイツの黒いパンを想像して食べたら、何だか違っていて、味のないパンだった。
吉田さんは大半を残して部屋に去って行き、私はいつものとおり残りを片付けた。吉田さんは日本食をこよなく愛するがゆえに、海外では極端に小食になるのだった。私はけっこう大食いなので、いつも吉田さんの食べ残しをあてにしている。

14:00になったので、ホテルの地下にある会議室へ行った。
ホテルの地下には、アウトドアツアー会社のオフィスと、会議室があった。ホテルのゲストたちはここのツアー会社のお客さんのようだ。
会議室は10人くらいでいっぱいになりそうな小さな部屋で、四角く配置した長机の前にホワイトボードが立ててあって、ホワイトボードの前にロシア系の男の人が2人と、アジア系の男の人が一人立っていた。
長机には、若いアジア系の男の人が座っていて、どうやらこの人は探検の参加者らしい。

前に立っていたアジア系の人が「さすが、日本人は時間に正確ですね」と英語で話しかけてきた。
この人は通訳のトゥルンで、英語・ロシア語・ドイツ語・日本語が話せるマルチリンガルなキルギス人だった。おなかがかなり出ていて恰幅が良いので一目見たら忘れないし、話してみるとすごくユーモアがあって博識なので、チームの人気者だった。酔っぱらうと少し話がしつこいのが玉に瑕だけど。
前に立っているロシア系の若いほうの男性がアレクセイで、年配の人は地質学者のセルゲイだった。あとで知ったのだが、この二人は親子らしい。
あとから、スウェーデン人のカップルがやってきた。ネイチャー系写真家のマーティンと、ERの医師のカーチャだ。二人は絵に描いたような美男美女カップルで、陽気で賢いのでチームのムードメーカーだった。
最初から会議室にいたアジア系の若者は、アメリカ人のギルバートで、ケイビングは最近始めたばかりとのことだった。両親はベトナムとミャンマーの少数民族の出身だそうで、見た目はアジア人だけど、中身は完全にアメリカ人だった。アメリカの政府機関で、エンジニアとして働いているらしくて、めちゃめちゃ賢いし、若いのに人間ができている。遠征中、ずっと吉田さんにちょっかいかけられていたけど、すべてを受け流して、笑顔で対応していた。
あとは、スペイン人とブルガリア人が参加するのだけど、彼らは遅れてくるそうなので、マーティンとカーチャが登場したところでミーティングが始まった。

探検についてのミーティングはアレクセイとセルゲイの説明を、トゥルンが通訳して行われた。アレクセイがキルギス洞窟保護基金の事務局長で、今回の探検を計画した。ロシア版ダニエル・クレイグって感じの渋いイケメンで、英語は6カ月前から勉強し始めたばかりでほとんど話せない。どおりで、出発前のメールのやりとりが要領を得ないはずだ。
セルゲイはキルギスで最初のケイバーで、今も積極的にキルギスの洞窟を調査している。セルゲイはほとんど英語は話せない。
二人がコキヤの地質と過去の資料について説明し、探検の行程について提案し、そのあとはみんなで装備や目的について簡単に話し合った。
しかし、みんな初めて会って、キルギスも初めてなので、基本的に計画はアレクセイの提案どおりに進めるしかない。
みんなで地図を見て話し合う

このあと、アレクセイに探検に必要な費用を支払って、いったん解散した。探検の出発は、翌日10時ごろ、スペイン人の到着後となった。

ちなみに、アレクセイに支払った費用は、720ドル。2週間の交通費と食費、その他装備も全部アレクセイが用意してくれたので、結果的に高くなかったと思う。しかし、探検と言って参加者を集めつつ、ある程度の利益を見込んでいるのは間違いないようだ。ただ、完全に金儲けでやってるのかと言うと、それにしてはアレクセイとセルゲイは本当にキルギスの地質や洞窟をよく調べている。私の印象では、この活動で資金を得て、キルギスの洞窟の保護に役立てたいと考えているのかなと思った。
調査も進めつつ、将来の資金も集められて、キルギスの良さも宣伝できるし、いいんじゃない?金を儲けることは悪いことじゃない。
実際、キルギスの洞窟や自然は、観光化の目的や、地元の人の認識不足のため、少しずつ破壊されているので、ネイチャーツアーとして洞窟を活用するにしても、保護は進めたほうが自国の利益になることは間違いない。

ミーティングは16:00ごろに終わって、参加者はそれぞれ、買い物のために町に出て行った。私と吉田さんも町に出たけど、途中でギルバートに会ったので、3人でアウトドアショップに行った。ギルバートは防寒着をあまり持ってきていなくて、心配だからダウンジャケットを買うと言う。
アレクセイによると、標高の高いところでは夜は氷点下10度まで下がるらしい。しかし、キルギスのアウトドアショップで売っているものは98%がロシアのRedFoxというメーカーのもので、値段は高くないけど、かなり型遅れで色も悪い。テントもジャケットもザックも、全部RedFoxばっかりなのだ!
ギルバートは店頭ですごく悩んで、「あー、ダウン持ってきたら良かったー」とこぼしつつ、1万円くらいのモッコモコした芥子色のダウンジャケットを買った。でも実際にフィールドでは毎晩すごーく寒かったので、ギルバートがRedFoxを着ない夜は無かったし、後悔してなかっただろう。
私と吉田さんは、韓国製のバーナーのガス(@400ソム/約650円)を買ったけど、こっちはほとんど使わずに終わって、最後はアレクセイにプレゼントして帰ってきた。

買い物の後、私と吉田さんは、ネットで調べた日本料理店へ夕食に行った。
吉田さんは、日本食をこよなく愛するので、海外では必ず日本食料理店をチェックする。ビシュケクではFURUSATOという、地元のセレブに人気の店に行ってみた。
ネットでは予約しないと入れないときがあると書いてあったけど、運よくテーブルが空いていた。
一人一食20ドルくらいで、ボリュームたっぷり、味も最高だし、オーナーも店員もサービス満点で、今まで行った海外の日本食料理店でも最高レベルだった。特にすごいのが、寿司についてくるガリ!ガリは、海外では再現しにくいみたいで、だいたいの店で謎めいた味になるのだけど、この店のガリは、日本と同じ味!
オーナーにこの感動を伝えたら、ガリのおかわりをくれました。
ぜひ、ビシュケクに行ったら、みんなFURUSATOに行ってほしい!

と感動を抱きつつ、この日はホテルに帰って、だらだらして過ごした。
翌日は探検に出発だけど、遅めのスタートだから、パッキングも明日やりなおせばいいやーとのんびりした。




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