キルギス洞窟(岩陰)探検遠征 5
近野由利子
9/9 朝起きると顔がむくんでいる。鏡は見ていないけど、感覚でわかる。
だいたい私は遠征のときは、疲れのために朝はむくみ顔なので、朝だけかなと思ったけど、どうやら高山病みたいで、一日中むくみっぱなしだった。
そして、やっぱり、昨日ずぶぬれになった登山靴は、がちがちに凍っている。
靴は一足しか持ってきていない。飛行機の荷物制限が23kgまでだったので、できるだけ荷物は減らしたのだ。着替えも1セットくらいしかない。
吉田さんは、いつも濡れた靴を履くときに、ジップロックを重ねて履いているので、私も真似して、ビニール袋を履こうとしていたら、カーチャがそれを見て、「私、予備の靴があるから、貸すわよ!」と言って、乾いた靴を貸してくれた。サイズもぴったりだ。おかげで日中、靴を乾かすことができた。
カーチャはいつもすごく優しい!しかも、サバサバした優しさで、相手に気を遣わせない。ERの医師だから、きっと色んな経験をして、人間力が高いのだろうと思う。
一方、人間力低めの私は、この後、濡れた靴を履いている吉田さんのところに行って、乾いた靴を自慢したことは言うまでもない。
今日は馬で山越えする予定。
みんなで近くの遊牧民の家に馬を借りにいった。
遊牧民が経営する宿の事務所?なのか、古いバスを家のように使っている。黄色いかわいいバスだ。その前に古いロシア製のバンが停まっていて、とても絵になる。男性陣は、ロシア製の武骨なバンに夢中になって、ぐるぐると見て回ってあーだこーだ言って写真を撮っていた。
ちなみに、街中でも、ロシア製の古い車を見ると、男子たちは色めき立っていた。言われてみると、変わったデザインでおしゃれかも。
古臭ーいバンを熱心に撮影するセシリオ |
馬たちはすでに人数分、用意されていた。私は人生で初めての乗馬で、しかもいきなり山に登ることになるが、誰か乗り方を説明してくれるのかなーと思っていたら、何の説明もなく、「じゃあ、乗って」と遊牧民のお父さんから指示が出て、私には小柄な白い馬が割り当てられた。
何も教えてもらえないので、お父さんの様子を観察して、真似をする。
お父さんは、ずーっと馬の脇腹を蹴ってるのだけど、動物大好きの私は、可哀想でそれができない。
一方、吉田さんの馬は暴れん坊で、吉田さんが乗ってすぐ、突然爆走しはじめて、私と同じく乗馬経験の無かった吉田さんは、いきなりの馬の反逆に対してなすすべもなく草原の彼方に消えて行った。
で、吉田さんは星になったかと思ったら、しばらくしたら馬を連れてトボトボと帰ってきた。馬が一瞬、減速した隙に、すかさず飛び降りて、馬を止めたらしい。さすが、人間離れしている。
吉田さん「おい、俺が爆走してるの動画撮ったか?!」
私「え、そんな暇なかったよ」
吉田さん「何やってんだ!あれは撮らないと!」
私も必死だったんで、雄姿?を撮影できず、ごめんなさい。
全員揃ったところで、お父さんの道案内で、山越えの旅が始まった。
吉田さんは、最初の馬が暴れ馬だったので、別の馬を用意してもらったのだけど、こっちの馬もちょっとクセのあるやつで、いきなり吉田さんを乗せたまま、しゃがみこむのだ。そのたびに吉田さんは落ちそうになって、焦っていた。周りのみんなは、「なんだ、カツジかー」って感じで全然心配もしていなかったけど。
目的の山に到着した。
到着した山の斜面から、谷を越えた向かいの山の岩壁にいくつか洞口のような岩陰が見える。
当初の目的は、来るときに道路からでも見えた大きな洞口のチェックだけだったが、それ以外にも穴が見えるので、マーティンのドローンを使って、中がつながっているか偵察した。
ドローンを飛ばしてみると、自分たちの立っている斜面の足元にも、岩陰があることが分かったが、いずれの穴も奥には続いていないことが確認できた。
ドローンのバッテリーにも限りがあるし、あまり期待したほどの結果ではなかったので、みんなしょんぼりしつつ、レナが持たせてくれたお弁当のハンバーガーを食べた。そのうち、14時ごろになって、カーチャが「もう帰ったほうがいいんじゃない?誰かさんの馬がまた暴れるかもしれないから、時間がかかるかも~」と、いたずらっぽく吉田さんを見た。
穴もないし、早々に退散だ。
帰りは、ずっと下りだし、馬も早く帰りたいようで、ルートを誘導しなくても自動運転でどんどん進んでくれて、1時間くらいで戻ることができた。
人数分の馬と、荷物運びの馬、遊牧民のお父さん2人のガイドを全部含めて、一人20ドルずつ支払った。
テントに戻ると、レナがメロンとお茶を用意してくれていた。
キルギスでは、よくメロンとスイカを食べたけど、どちらもとってもジューシーでおいしくて、みんなのお気に入りだった。
夕食後は、マーティンが今日撮影した、3D写真を見せてもらった。彼の最新技術にみんな興味津々で、マーティンを囲んで盛り上がったけど、どれも洞窟じゃなくて岩陰の写真だから、ちょっと寂しい。
「マーティン、岩陰写真集作れるね...」と吉田さんと日本語でつぶやいた。
夜のミーティングの結果、翌日からは東へ50kmほど移動した渓谷で洞窟を探すことになった。目的地に近い、次のキャンプサイトへ移動するために、朝から撤収するのだが、次の場所は、今のキャンプサイトよりは少し標高が下がるようなので、顔のむくみがマシになるかも。
思い起こすと、この最初のキャンプサイトが一番良かった。
標高が高いので、夜は寒いし、顔がむくむけど、天山山脈を借景に、きれいな川が流れていて、風もなかった。近くに住んでいる遊牧民の子供もかわいかったし、どこからかやってきた人懐こい子犬がキャンプサイトにいつもいて、平和な家みたいだった。
キルギスの犬や猫は、みんなのんびりしていた気がする。
東南アジアのほうでは、犬や猫は手荒く扱われるので、みんないつもどこかビクビクしているのだけど、キルギスでは、動物たちは悠々としていた。
スタンバイ中の馬たち |
何も教えてもらえないので、お父さんの様子を観察して、真似をする。
前に進んでほしいときは、「チョッ、チョッ」と鋭く言いながら、馬の脇腹を両足で蹴る。止まりたいときは手綱を強く引く。曲がるときは、曲がりたいほうの手綱を引く。
コツは、常に強い意志を持って、馬をリードすること。
コツは、常に強い意志を持って、馬をリードすること。
お父さんは、ずーっと馬の脇腹を蹴ってるのだけど、動物大好きの私は、可哀想でそれができない。
ええ、私は甘ちゃんです。厳しい自然では生き抜けません。
でも、しばらく乗っていると慣れてきて、形になってきた。
一方、吉田さんの馬は暴れん坊で、吉田さんが乗ってすぐ、突然爆走しはじめて、私と同じく乗馬経験の無かった吉田さんは、いきなりの馬の反逆に対してなすすべもなく草原の彼方に消えて行った。
草原に消える前の希望に満ちた吉田さん |
で、吉田さんは星になったかと思ったら、しばらくしたら馬を連れてトボトボと帰ってきた。馬が一瞬、減速した隙に、すかさず飛び降りて、馬を止めたらしい。さすが、人間離れしている。
吉田さん「おい、俺が爆走してるの動画撮ったか?!」
私「え、そんな暇なかったよ」
吉田さん「何やってんだ!あれは撮らないと!」
私も必死だったんで、雄姿?を撮影できず、ごめんなさい。
全員揃ったところで、お父さんの道案内で、山越えの旅が始まった。
目的の洞口のある場所までは、2時間くらいかかった。遊牧民のお父さんが誘導してくれるけど、みんな慣れていないし、けっこう急な斜面もあり、長い道のりだったけど、ダイナミックな景色の中での乗馬はけっこう楽しかった!
吉田さんは、最初の馬が暴れ馬だったので、別の馬を用意してもらったのだけど、こっちの馬もちょっとクセのあるやつで、いきなり吉田さんを乗せたまま、しゃがみこむのだ。そのたびに吉田さんは落ちそうになって、焦っていた。周りのみんなは、「なんだ、カツジかー」って感じで全然心配もしていなかったけど。
目的の山に到着した。
到着した山の斜面から、谷を越えた向かいの山の岩壁にいくつか洞口のような岩陰が見える。
当初の目的は、来るときに道路からでも見えた大きな洞口のチェックだけだったが、それ以外にも穴が見えるので、マーティンのドローンを使って、中がつながっているか偵察した。
ドローンを飛ばしてみると、自分たちの立っている斜面の足元にも、岩陰があることが分かったが、いずれの穴も奥には続いていないことが確認できた。
ドローンのバッテリーにも限りがあるし、あまり期待したほどの結果ではなかったので、みんなしょんぼりしつつ、レナが持たせてくれたお弁当のハンバーガーを食べた。そのうち、14時ごろになって、カーチャが「もう帰ったほうがいいんじゃない?誰かさんの馬がまた暴れるかもしれないから、時間がかかるかも~」と、いたずらっぽく吉田さんを見た。
穴もないし、早々に退散だ。
帰りは、ずっと下りだし、馬も早く帰りたいようで、ルートを誘導しなくても自動運転でどんどん進んでくれて、1時間くらいで戻ることができた。
人数分の馬と、荷物運びの馬、遊牧民のお父さん2人のガイドを全部含めて、一人20ドルずつ支払った。
テントに戻ると、レナがメロンとお茶を用意してくれていた。
キルギスでは、よくメロンとスイカを食べたけど、どちらもとってもジューシーでおいしくて、みんなのお気に入りだった。
夕食後は、マーティンが今日撮影した、3D写真を見せてもらった。彼の最新技術にみんな興味津々で、マーティンを囲んで盛り上がったけど、どれも洞窟じゃなくて岩陰の写真だから、ちょっと寂しい。
「マーティン、岩陰写真集作れるね...」と吉田さんと日本語でつぶやいた。
夜のミーティングの結果、翌日からは東へ50kmほど移動した渓谷で洞窟を探すことになった。目的地に近い、次のキャンプサイトへ移動するために、朝から撤収するのだが、次の場所は、今のキャンプサイトよりは少し標高が下がるようなので、顔のむくみがマシになるかも。
思い起こすと、この最初のキャンプサイトが一番良かった。
標高が高いので、夜は寒いし、顔がむくむけど、天山山脈を借景に、きれいな川が流れていて、風もなかった。近くに住んでいる遊牧民の子供もかわいかったし、どこからかやってきた人懐こい子犬がキャンプサイトにいつもいて、平和な家みたいだった。
キルギスの犬や猫は、みんなのんびりしていた気がする。
東南アジアのほうでは、犬や猫は手荒く扱われるので、みんないつもどこかビクビクしているのだけど、キルギスでは、動物たちは悠々としていた。
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